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デザイナーズホテルの差別化はどうはかる?小さな成功の積み重ねが花開くとき(前編)

 

 

こんにちは、NBSホテルマネジメントです。

「宿泊業界ノウハウの教科書」、5回目は地方のデザイナーズホテルが収益管理と個性的なサービスを出し、利益をあげ続けている事例をご紹介。ホテルの支配人を務める運営の服部勝美に熱く語ってもらいました。

 

NBSホテルズ&リゾーツ 支配人

服部はっとり 勝美かつみ

工場勤務を経てホテル業界に飛び込み、NBSホテルズ&リゾーツに転職。現在は複数の施設を統括する「統括支配人」で、今回紹介するデザイナーズホテルではスタッフのマネジメント、売上・利益の最大化に向けた戦略立案、施設改善やサービス品質の向上施策の推進などを担当。接客が好きで今でも現場の第一線で働いている。

 

 

雪国観光地のデザイナーズホテルが
かかえる課題とは

 

-今回ご紹介いたただくデザイナーズホテルについて教えてください

 

服部 今回紹介するデザイナーズホテルは雪国の観光地にあるホテルです。コロナ直前に開業したホテルで、客室数は約30室。大きなホテルではないので、支配人としての仕事は1時間程度で、後は現場で働いています。

 

ホテルのある地域は閑散期と夏・冬の繁忙期の差がはっきり出ることで知られており、平均単価も閑散期は7000円、繁忙期は4万円台にまでのぼります。客層としては冬は国内外からのスキー客、夏は近くの花畑を目当てに訪れる観光客や夏休み需要の日本人観光客です。

 

ホテルの課題は閑散期の稼働率の低さ。 スタッフは「またお客様が入らない時期が来たけれど、この時期はそういうものだから仕方ない」とあきらめており、稼働を上げようという意識が低かったんです。さらに需要に合わせた価格コントロールも不十分でした。

 

経費の管理が甘く、人件費が過剰で利益が出ていなかったのも大きな問題でした。飲食や清掃業務を外部に委託していたことが主な原因ですが、さらに役割分担があいまいで、業務が効率化されていなかったんです。

 

また、施設の全体がありきたりで個性が欠けていました。「雪国」「花畑」という見どころがあるのに、他の宿泊施設と差別化できる魅力やストーリー性が弱いと感じました。

 

 

 

経費の徹底的な見直しで
経営改善

 

-多くの課題があったとのことですが、着任後にまず取り組まれたことは何ですか

 

服部 まず取り組んだのは経費構造の抜本的な見直しで、「現場の働き方そのものを変える」をテーマに改革を進めていきました。レストランはテナントが入っていたのですが、こちらは内製化しています。さらに利益率の低さから昼食や夕食の提供をやめて朝食のみにしました。

 

日本ではホテルで夕食が取れるのが普通ですが、訪日外国人は地元のレストランで夕食をとる傾向があるんです。連泊される方は同じレストランで何度も食べたいとは思わないでしょう。また、ホテルの近くにはレストランもあります。ホテルではコンシェルジュサービスとしてレストランの予約を承っていますが、よくお客様がご利用されていますよ。さらにスタッフ手作りのレストランリストも提供しています。

 

さらに外部委託していた清掃業務を内製化し、清掃関連の経費を40%削減しました。内製化によりスタッフの業務範囲の見直しを実施し、フロントスタッフが接客から清掃までマルチに担当できるマルチタスク制を導入しています。

 

 

-マルチタスク制だと各スタッフの負担が増える部分もありますが

 

服部 マルチタスク制で業務内容が増えた分、非効率な業務の洗い出しや削減にも取り組み、業務の最適化に努めました。実はちょうど新型コロナが猛威を振るっているときにホテルに着任したので、スタッフは数名程度しかおらず、ほぼ休館中のような状態でした。そんなところから改革をスタートしたんです。

 

まずはお客様が減ったことで空いた時間を使い、全ての業務の棚卸をし、誰が何をどれだけするのかを整理しました。また、残業も極力減らせるように業務を効率化しています。改革の際は人出が少ないことを踏まえ、「最小限の仕事って何だろう?」と考え、できないことは無理せずにやめ、仕事をどんどん整理していきました。

 

この時「少ない人数で利益を出す」仕組み作りに取り組み、損益分岐点を肌で感じられたことはその後の大きな強みになりました。人数が増えた後も最低限保つべきことを知っているので、人件費と利益のバランスを考えながら収益を出す際大いに役立ちました。

 

現在はスタッフの労働環境は大きく改善され、月平均の残業時間が3時間未満。ホテル業界としては非常に健全な水準を維持できていると思っています。

 

 

-稼働率に対するスタッフの意識の低さについてご指摘されていましたが、どのように改善されたのですか

 

服部 スタッフには毎日自分が稼働率を気にしている姿を見せました。「満室になっていない…どうしよう」「稼働率5割だとヤバい」と思える雰囲気から作っていったんです。

 

とはいえ、スタッフに「満室を目指せ」というプレッシャーをかけるのではなく、「満室が当たり前」という前向きな雰囲気を作るよう心がけました。毎日声掛けを行い、予約状況をミーティングで共有し、目標を達成した時は誉める。こうした日々の取り組みにより、フロントスタッフから清掃スタッフまで「今日は満室にしよう」「あと数室どう売ろうか」と自然に考えられる空気を作りました。

 

「売るのは本部の仕事」ではなく、現場が主体となって「稼働率を上げるチーム」に変わっていったことが、持続的な成果につながっていると思います。

 

このほかにも、施設の強みを活かしたサービスをスタッフ視点でいかに生み出すか、ターゲットに適した思い切った価格設定でいかに利益を出すかに取り組んでいます。後半ではそうした事例を紹介します。

 

 

(後編)に続く>>>

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